1. キャパシティプランニング
    1. 性能評価
    2.  システム運用にあたって想定される負荷や要件を考慮し、性能や経済性及び拡張性を考慮してシステム構築計画を立てること。

      1. 性能評価指標
        • レスポンスタイムとターンアラウンドタイム
        •  システムの応答時間を算出するにあたってはユーザーが要求入力を完了した時点から時間が算出される。このため、タスクの処理時間だけでなく実行待ちに要した時間までも応答時間に含める必要がある。

          • レスポンスタイム
          •  要求入力完了から結果出力開始までに要する時間。トランザクション*の応答時間として主に用いられる。通常は伝送時間が含まれない。

          • ターンアラウンドタイム
          •  要求入力開始から結果出力完了までに要する時間。ジョブ*の応答時間として主に用いられる。通常は伝送時間が含まれる。

        • スループット
        •  単位時間当たりのジョブやトランザクションの処理数。通常はジョブやトランザクションの処理時間で単位時間を除算した値がスループットとなるが伝送時間*等でボトルネック*が発生する場合はボトルネックとなる処理の時間で単位時間を除算して求める。

        • TPS(Transactions Per Second)
        •  1秒間に処理できるトランザクション数。

          トランザクションの処理時間 = トランザクションの命令セット数
          MIPS × 106
          TPS = 1
          トランザクションの処理時間

      2. システム利用率と待ち時間
      3.  システムへのリクエストが増えるとシステムの利用率は上がり、結果、レスポンスの待ち時間(他のリクエストが処理終了するまでの待機時間)が増加する。このため応答時間は利用率を考慮して計算する必要がある。利用率をρ(ロー)としたとき、待ち時間と応答時間は以下の式で算出される。

        ρ = トランザクションの処理時間 × 単位時間当たりのトランザクション到着数
        1
        待ち時間 = ρ ×トランザクションの処理時間
        1 - ρ
        応答時間 = 1 ×トランザクションの処理時間
        1 - ρ

      4. 待ち行列理論
      5.  ユーザーがシステムを利用するにあたって待機状態が生じる現象を銀行の窓口に行列するような物理的現象に置き換えてこれを数理モデルにより解析することを目的とした理論。待ち行列はデータ構造においてキュー構造を形成する。

        • ケンドール記法
        •  デヴィット・ケンドールによって提案された待ち行列の特徴を記号で表現する方法。

          到着分布 / サービス時間分布 / 窓口数

          到着分布
           種類  説明  記号
           ポアソン分布  到着順がランダム  M
           一般分布  到着順がランダムではないが一定でもない。何らかの係数に従う  G
           一様分布  到着順が一定  D

          サービス分布
           種類  説明  記号
           指数分布  サービス時間がランダム  M
           一般分布  サービス時間がランダムではないが一定でもない。何らかの係数に従う  G
           一様分布  サービス時間が一定  D

          窓口数
           説明  記号
           窓口数が単一  1
           窓口数が複数  S

        • M/M/1モデル
        •  ポアソン分布到着、サービス時間が指数分布、窓口が1つの基本的な待ち行列モデル。平均待ち時間および平均応答時間を導出するのに用いられる。

           記号  意味  説明
           Ta  平均到着間隔時間  サンプル時間に対する問い合わせ数から1件当たりの平均時間を算出したもの
           Ts  平均サービス時間  問い合わせ処理の所要時間から1件当たりの平均時間を算出したもの

           ポアソン分布及び指数分布に基づき抽出されたサンプル時間帯より窓口へ来客(問い合わせ)の平均の間隔時間と問い合わせの処理(サービス)にかかる時間を導出し、待ち行列の指数とする。

           記号  意味  説明
           λ(ラムダ)  平均到着率  単位時間あたりの問い合わせ数の割合
           μ(ミュー)  平均サービス率  単位時間あたりの問い合わせ処理数の割合

           上記の指数から単位時間当たりの問い合わせ数と処理するサービス件数を導出する。

          λ = 1
          Ta
          μ = 1
          Ts

           記号  意味  説明
           ρ(ロー)  窓口利用率  窓口が占有されている割合

           上記のより窓口が占有されている割合を導出する。

          ρ = λ
          μ
          または
          ρ = λ × Ts

           記号  意味  説明
           Tw  平均待ち時間  問い合わせが到着してからサービスが開始されるまでの時間
           T  平均応答時間  問い合わせが到着してからサービスが完了するまでの時間

           窓口利用率と平均サービス時間より平均待ち時間および平均応答時間が導き出される。

          Tw = ρ × Ts
          1 - ρ
          Tr = 1 × Ts
          1 - ρ

           記号  意味  説明
           Lw  平均待ち行列長  サービスが開始されるまで待ち状態である問い合わせの数
           Lq  平均系内滞留数  サービス処理中の問い合わせと待ち状態の問い合わせの数

           窓口利用率からは待ち行列の状態も導出できる。

          Lw = ρ2
          1 - ρ
          Lq = ρ
          1 - ρ

    3. ベンチマーク
    4.  システムにテスト用の標準的なプログラムを実行させ、処理結果をもとにシステムの性能を測る手法。通常はいくつかのハードウェアで実行して処理性能を比較する。